認知症介護現場・20年の実話⑪『レトロシルバーカー』編

利用者さんの日常

『レトロ(旧型)シルバーカー』

荷室は大容量で『愛嬌のあるフォルム』

昔のおばあちゃんの背丈に合わせた『低重心と安定感』

疲れた時には『椅子代わり』に

これ程『理にかなった』補助具は無いと思います。

認知症の女性利用者Nさんは

レトロシルバーカーのヘビーユーザー

【荷室座面の蓋を開ける場合の注意】

「変な物が出てきたらどうしよう?」と想定と心構えが必要。

定番のトイレットペーパーはもちろん,食器とスプーン類もレギュラーと認定され、迅速な回収が必要。

おやつが出て来た場合は、本人様の意向と処分についての判定会議と説得が必要。

【運転中の注意】

コーナーセンサー装備は無く、障害物へ衝突に注意が必要。

障害物を避けるタイミングで、「エ~ィ」と高音で奇声?を発し、他者トラブルが頻発。

職員は速やかに現着が必要。

【夜間自室駐車の注意】

夜間の排泄は、共同トイレか自室ポータブルトイレの使用の選択は予測不能、どちらも使用可能な位置に停車が必要。

オプション

トイレに座り大音量で民謡なのか?オリジナルなのか?何だか分からない歌を『手拍子』と共に大熱唱あり。

抜群のリズム感、あの国民的スターの名曲

『だいじょうぶだ~』の様にも聞こえます。

()途中に大絶叫!忖度なしの高音「エ~ィ」あり。

【4人部屋の様子】

歌が始まると他の3人の利用者さんのリアクションも様々

① 眉間にシワを寄せる方

② 目を開け驚いた表情で周りの状況確認される方

③ 動じず子守歌としておられる方

④ 早く歌が終わって欲しいと願う職員

しかし、

歌を止める訳にはいきません。

ポータブルトイレ使用中限定ソングだからです。

愛嬌のあるNさん、レトロ(旧型)シルバーカーを見ると、そのお姿を懐かしく想い出します。

ワンポイント

認知症の症状の1つに『収集癖』があり、特定な物に執着がない場合でも、感情(不安、寂しさ)への『代償行為』としての収集もみられます。

又、『見当識障害』により、自分の居場所や時間が分からない『不安感』から『歌を歌う』ケースもあります。

『介護士目線』ですが、このNさんの場合は単に排泄時(日中も同様)に腹圧を掛ける(力む)為に歌っておられたとも考えられます。

宜しければ参考にしてみてください

by ちばのそら

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